5月19日(火)#レビュー【灰と幻想のグリムガル】
思い立ったのでアニメのレビューです。
灰と幻想のグリムガルは十文字青さんによるライトノベルです。2016年にはアニメ化されました。
私は大学2年生ぐらいの時にこのアニメをみました。その時いたく感動したのでいまだに主題歌を聞いたりしています。今回その魅力をお伝えできればと考えを書き出してみることにします。
【概要】
主人公ハルヒロたちが記憶を失ってグリムガルという土地で目が覚めるところから始まり、ゴブリン一匹にも苦労しながらも、義勇兵として仲間たちと共に成長していく。そんな話です。
形式としてはいわゆる”異世界転生モノ”にあたるでしょうか。モンスターがいて、ギルドがあって、剣と魔法があって。ただしよくある異世界転生モノとは話の質からして違います。なんというか、全てが真剣なのです。キャラクターも真剣に生きているのが伝わってくるし制作陣も手を抜いていない、キャラクターを生かそうとしているのが伝わってくる。
特徴的な魅力を以下に3点挙げます。
・音楽や音響
・背景
・キャタクターの変化
【音楽や音響】
主題歌や挿入歌といった音楽(K)NoW_NAMEというユニットが手掛けています。この作品のプロデュースから始まったユニットです。一つの団体が手掛けることによって作品の雰囲気が統一的に醸成されています。
ただこの(K)NoW_NAMEが同じように音楽プロデュースを手掛けたアニメ「サクラクエスト」もみてみましたが、私にはあいませんでした。思うにこれは灰と幻想のグリムガルが、いい意味で味の薄い作品だからうまく合わさったのだと思います。戦闘シーンでは迫力を増させる。街を歩くシーンではセリフの代わりに挿入歌を流し心情を表す。効果的に働いていました。実はこの街のシーンでは声を当てていたそうです。そういった細部まで力を入れていることが作品のリアリティにつながっているのだと思います。
また声優の演技も非常に印象的です。声優の演技というと声の表現だけにも思えますが、この作品では間やフィラーや息遣いといった、声以外の演技にも力が入っているように聞こえました。特に8話のラストのやりとりは特殊EDも合わせって情緒がこの上ないです。
【背景】
この作品において特徴的なのがその背景です。
全編を通して水彩画のような背景で描かれており、その世界の雰囲気を如実に表しています。夏の森のシーンでは草木が、冬山のシーンでは降る雪や灰色の雲までもが丁寧に書き込まれています。この世界ではきっと今でもキャラクターが生きていっているだろう、そう思わせるような実感のある描写でした。
【キャラクターの変化】
物語の進行を表す要素としてキャラクターの外見や性格を変化させることは多くの作品においてあります。この作品において特筆すべきはその服装の変化です。思うに1クールものでここまで服装が変化するアニメを私はみたことがありません。寝るシーンでも普段の服装のままだったり、序盤は服装が変化してもキャラクタービジュアルが固まったら以降は逐一は変化なしというアニメは多いです。もちろんそれには、キャラクターデザインの関係や、キャラクターを覚えさせるために衣装は変えられなかったりと様々な理由があると思います。その中でキャラクターのイメージを保ったまま頻繁に服装が変化し、そしてその変化に合理的理由があるというのは貴重な作品だと言えます。最後まで見終わった後、第一話の主人公たちをみると、ああ成長したんだなあと実感します。
【最後に】
このアニメは全12話で構成されており、原作の途中までを描いています。ただ中途半端な終わり方では決してなく、続きを小説で読んでも良いし、アニメ単体でも楽しめるものとなっています。
終息気味ではありますが新型コロナウィルスの流行で家にいることが多い日々、時間がある方は是非視聴してみてはいかがでしょうか。