6月11日(木)【進路】
俺はバカだ。漠然とした虚栄心から、東京へ行きたいだとか大企業に勤めたいだとか。
自分の生きる道は自分で決めるものだ。
研修制度がしっかりしている企業に行けば自ずと自分が成長できる?違う。もしそこで結果を出しているひとがいるとすれば、それは主体的に学ぼうとしてきたひとだ。
どうなりたいか。どうありたいか。はっきりさせなくては意味がない。
俺が死ぬ場所はここでいい。ここがいい。
ひとまず会社を作る。
従業員は自分のみ。オフィスはなしで。事業は映像製作。稼働してなくても良い。楽しそうだ。
来年から地元のこのあたりで適当な会社に勤める。
条件は以下の通り
・余計なストレスが少ない
・喫煙者が少ない
・規則正しい勤務時間
そこである程度金をためる。勉強する。
2、3年経ってコロナが落ち着いた頃に台湾にワーホリにいく。
いまよりもっと中国語を上達させて帰ってくる。
そこからは語学で生きたい。
文学の翻訳もやってみたい。ゲームのローカライズってのも面白いかもしれない。
実現可能性がどうとかじゃない。やりたいんだ。いままで一番心が向く考えだ。
なによりそれは、俺が死ぬときにきっと胸を張れそうだ。
俺の脳裏には友の死に顔が頭をついて離れない。あいつは留学を楽しみにしていた。俺よりずっと生きる価値のある人間だった。ドイツ語を勉強して、留学生のアテンドをやって。
うまく言葉にできないが、遺志を継ぐとか代わりにとかそういうことじゃない。これは意趣返しなんだ。ままならないこの世界にできる俺の唯一のことなんだ。
翻訳家になる。