傍流

現役大学生の僕が思うことを思うままに書いていくブログです

村田沙耶香『コンビニ人間』を読んだ感想

後輩から借りて読んでみました。結論から言うと自分は好きではないな、と感じました。

 

全体を通して言葉一つ一つに心に響くものがなく、粗が目立つように見えました。

 

主人公、恵子のおかしさを表すエピソードについて言うと、人とは違ったというあたりは血の通った文章であり、すんなりと理解できたのですが、スコップの話のあたりから少し現実離れしていて、まるでTwitterでよくみるほら話を読んでいる気になりました。そしてそのスコップの単語をいつまでも引きずるものだから、他にいうことはないのかな、といった気分になりました。

一つの単語を何度も使う傾向は全体を通してもみられました。「縄文」や「強姦」など。印象付けたいとも取れますが、単に作者の語彙の限界のように見受けられました。

 

そして登場人物がわかりづらい。印象の薄い名前が羅列されていたということもありますが、最後までこの人はなんのためにいたのだろうという人が多くいました。

 

客を注意するおじさんの話は、結末の伏線だったとわかりましたが、他の話と異質過ぎて妙に目立っていました。

 

後輩と結末がハッピーエンドかバッドエンドかで話し合いましたが、私はバッドエンドだと感じました。理由は、もし作者がハッピーエンドに見せたいならば「蠢く」といった語は使わないだろうと考えたためです。

 

小説というよりも誇張の激しい一種のエッセイであるかのような印象をうけました。

また、この小説が芥川賞受賞作品として人口に膾炙されているというのはなんとも言えない気分になりましたが、あるいはコンビニでのアルバイト経験のある人々や、コンビニに慣れ親しんで生きてきた人の多い現代社会では、共感を集めるものとして受け入れられるというのも自然な成り行きなのかもしれません。